猫の陰睾
このブログでも何回か触れていますが、精巣が陰嚢内に下降してこない状態を
陰睾(潜在精巣)と呼びます。
犬は比較的多いですが、猫は通常すごく稀です。
文献によって差はありますが、猫の場合の陰睾は0.1〜1.0%以下というデータもあり、とにかく稀なのです。
しかし当院では開院以来すでに何頭か経験しており、文献や私のこれまでの経験と比較しても多く感じます。これは遺伝性疾患であり、当院は純血種の猫ちゃんが多く来院されることがおそらく影響しているのだと思います。
写真の猫ちゃんも生後8ヶ月まで待っても左側の精巣が陰嚢内に下降してこなかったため、エコー検査にて精巣の位置を確認しました。
鼠径部(またの皮下)に留まっていることが分かったため、手術を行いました。
この子は分かりやすかった方ですが、猫ちゃんの陰睾はすごく小さい事も多く、また皮下脂肪等が多い事もあり、触診やエコーでどうしても精巣の位置がわからないことがあります。その時は、開腹手術を行い、前立腺から精管をたどることで精巣を見つけ出します。そのように探した結果、腹腔内ではなく鼠径部にあるという事もあります。
手術を希望される場合は、一度診察を受けてください。
その子に必要な準備を行って万全な手術を行います。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長
北原 康大