鼠径ヘルニア
ヘルニア」というとなんとなく「腰」をイメージしてしまう方が多いかもしれませんが、ヘルニアというのは「臓器や組織の一部が組織の隙間を通って、本来あるべき場所ではない部分にはみ出している状態」のことを言います。
椎間板ヘルニア、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、腹壁ヘルニア、横隔膜ヘルニア、脳ヘルニアなど、たくさんのヘルニアが存在します。
今回は鼠径ヘルニアのお話です。
他院で鼠径ヘルニアと診断され、当院に転院してきた初診のワンちゃん。
下の写真のように鼠径部(股の部分)がポコっと腫れています。
超音波検査でヘルニア内容を確認、お腹の中の脂肪が脱出している状態でした。
(膀胱・消化管・子宮などが脱出すると更に状況が悪くなります。)
治療法は外科手術です。
下の写真に示している「ヘルニア嚢」と言われる袋をしっかりと切除し、ヘルニア輪という穴を縫合し手術は終了です。
鼠径ヘルニアを放置しておくと、重要臓器が脱出し嵌頓(戻らなくなること)を起こします。そうなってしまうと命の危険にさらされます。嵌頓する前に、なるべく早く手術にて整復しておくことが必要です。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長 北原康大