帝王切開
こんにちは!
院長の北原です。忙しい毎日が続いており、なかなかブログを更新できませんが、今後も皆様の役に立つ情報を提供していこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
この猫ちゃんは2ヶ月前にお家から脱走してしまい、数日後に帰宅したそうです。
ここ数日の体調不良があり、他院を受診し猫カゼと診断され、お薬を処方されたとのことでした。その後、なんと1頭の赤ちゃんを流産してしまい、妊娠が発覚したとのことです。
そして当院には、陰部から出血が続いているとの主訴で来院されました。
X線検査にて、2頭の胎子を確認。産道には進んでおらず、子宮内に止まっています。
超音波検査にて胎子心拍はあるものの、やや徐脈。
・産道に進んでいないにも関わらず出血が続いていること
・胎子心拍が落ちていること
・1頭を流産していること
以上より異常分娩と診断し、このまま経腟分娩を待つのはハイリスクと判断。
帝王切開による母子の救出を行いました。
ヒトの帝王切開は硬膜外麻酔等の局所麻酔が多いですが、動物の帝王切開は基本的には全身麻酔です。私の場合、麻酔導入から胎子を取り出すまでは静脈内麻酔のみで維持をし、その後に吸入麻酔に切り替えます。そういった工夫をしても、生まれてくる胎子たちは軽度に麻酔がかかっており眠っています。取り出した胎子2頭の蘇生は動物看護師に任せ、私は母猫の手術を続行します。
こうしてスタッフ総動員で帝王切開を終え、無事に母子を退院させることができました。
先日、1週間後の検診に来院されましたが、子猫は2頭とも活力があり母乳をよく飲んでいる様子。また母猫も赤ちゃんたちのお世話を一生懸命やっている様子で、私たちも一安心しました。
ヒトも動物も、妊娠出産というものは当たり前ではなく、奇跡の連続だと思います。
私たちも動物たちの奇跡の手助けができるよう、毎日準備してお待ちしています。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長 北原 康大