胆嚢疾患
胆嚢 とは肝臓の中に埋もれるように存在する袋で、肝臓で作った消化を助ける液を一旦貯蔵し、良き時に十二指腸に送り出す臓器です。
特にワンちゃんは胆嚢疾患が多く、治療に苦慮することもあります。
先日、健康診断を行ったワンちゃん、血液検査で肝臓の数値が高く(基準値の4倍)、腹部エコーを確認しました。肝臓の実質には特に問題はありませんでしたが、胆嚢の中に硬い粘液が溜まった所見を認めました。(写真)
胆嚢粘液嚢腫という病気です。
これは無症状のことも多いですが、進行すると胆嚢破裂や胆管閉塞を引き起こす可能性がある病気です。
胆嚢摘出も考えましたが、まずは内科治療を行ってみることにしました。具体的には、食事の変更・総胆管出口を広げる薬・胆汁の流れを良くする薬・肝臓のサプリメントによる治療です。
1週間後の検査では、血液検査は正常になり、胆嚢の画像所見もかなり改善が見られました。硬い粘液からサラサラの泥に変化し胆嚢壁も薄くなりました(写真2)。
この状態であれば、胆泥症という許容できる状態と言えます。さらに良くなる可能性もあるので、内科治療を継続しています。
ワンちゃんの体質にもよると思いますが、この子は治療によく反応してくれました。以前よりも食事療法の質が上がったことが結果に繋がっていると感じています。手遅れになる前に、病気は早期発見が重要です。
当院では健康診断を引き続きおすすめしています。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長
北原 康大