ジアルジア症
私は毎日ワンちゃんネコちゃんのウンチを顕微鏡でのぞいています。下痢の原因を探す目的であったり、検診であったり。ウンチの中には様々な微生物がおり消化を助けてくれています。しかしウンチの中にいてはダメなものもいます。
代表格が原虫(ジアルジア)です。
一見かわいい顔のように見えるジアルジアですが、子犬子猫への感染では、下痢・体重減少・腹痛を引き起こす可能性があります。ジアルジアは動物の腸内に寄生して増殖し、シスト(卵のようなもの)が糞便と共に大量に排出され、何らかの過程で動物の口から入り感染が成立してしまいます。最新の文献では、子犬の33%、子猫の10%が保有しているというデータもあります。
糞便検査については、おそらくどの獣医師よりも多く実施していると自負している私ですが、先日来院した子の糞便検査で、こんなにたくさんのジアルジアが感染している子は未だかつて見たことがないと驚いたので動画を載せます。
画面の中で木の葉状の少し大きいお魚みたいに泳いでいるのがみんなジアルジアです。
ちなみにこの子の主訴は血便・下痢でした。
お薬をしっかり飲ませて、再度糞便検査を行います。顕微鏡でジアルジアが見えなくなっても、抗原検査(院内検査キットがあります)という方法でしつこく探します。症状も落ち着いて、ジアルジア陰性も確認できたら治療終了です。
無症状でも保有していることがあります。
新鮮な便だけ持って来ていただければすぐに検査しますので、
心配な方は私にウンチを下さい。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長
北原 康大