膀胱結石の内科治療
寒い冬に多く来院されるのが、おしっこの病気です。
血尿・頻尿・排尿痛など、下部尿路疾患を疑う症状で来院される動物たちを日常的に診察します。その中で、原因が膀胱結石である場合も少なくありません。
膀胱結石の治療として、
膀胱切開による摘出
内科的に溶解
今回は②の内科的に溶解した例についてご紹介します。
尿検査にて得られた情報から、溶解可能な結石と判断されれば内科的な溶解療法を選択することもできます。しかし溶解療法の実施期間中は、結石の縮小に伴って存在場所の移動が起こることもあり、移動した結石によって尿路閉塞を来すリスクがあることもインフォームした上での治療となります。
ワンちゃんの膀胱結石の原因は、膀胱内の細菌感染と食事中のミネラルバランスが密接に関係しています。
そのため内科治療には、
・適切な抗生物質の投与
・療法食(リンやマグネシウムなどを制限、尿pHを適切に保つ)
・飲水量と尿量を増やす工夫
また、肥満が膀胱結石のリスクファクターとなっており、適切に減量することも必要です(肥満の子は運動を嫌い、水を飲まないからです)。
初診時に膀胱結石・重度の肥満と診断されたこの子は、上記の内科治療により顕著な改善が見られましたのでご紹介します。
膀胱内に3つの結石
結石が1つになって、さらに縮小している
結石が無くなりました。
X線検査にて、尿道内にも無いことを確認して、完全に溶解されたと判断しました。
そして体重も、6kg → 4.3kgと健康的な体型に減量成功です!
「体が軽くなり飛び回っていますよ」と飼い主様も喜んでいらっしゃいました。
とても内科治療が上手くいった例ですが、それぞれの治療には適応/不適応やリスクもあります。適切な治療のためには、動物病院で適切な診断と、飼い主様・ワンちゃんの協力や努力が欠かせません。必ず動物病院を受診していただいた上で、病院と飼い主様が協力しながら、動物たちの治療をしていきましょう!
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長 北原康大