ワンちゃんの妊娠のお話(膣スメア検査)
ワンちゃんの妊娠を希望する場合、ワンちゃんには交配適期というものが存在します。
排卵後の卵子の寿命と、膣内に放出された精子の寿命を考慮し、最も適したタイミングで交配をする必要があります。そのためには排卵日を特定することが必要になって来ます。最も正確な検査は、血液中のホルモンを測定することです。院内測定ができる病院はベストですが、ほとんどの病院が外注検査になってしまうため、検査結果を待つうちに適期を逃してしまう可能性があります。そのため、簡易的ですが検査をしてすぐに飼い主様にアドバイスができるのが、「膣スメア検査」です。
膣スメア検査とは、膣に綿棒を入れて粘膜上皮細胞を採取し、その細胞を染色して顕微鏡で観察するという検査です。犬の膣上皮細胞は発情周期の中で大きく変化をします。
普段は核のある細胞(有核細胞)がメインですが、排卵が近づくにつれて核の無い細胞(無核細胞)の割合が増えて来ます。排卵後は再び有核細胞が増えて来ます。
このバランスを見る検査ですが、たった1度の検査では細胞のバランスがどちらに向かっているのかが判断できませんので、数日毎の複数回での評価が必要です。
ただ、妊娠出産は神秘的なものなので、科学的医学的なことだけでは説明できない領域です。
ですから100%の検査ではないことはご了承ください。
それを踏まえた上で、妊娠を希望する場合は、発情出血が見られたら来院のタイミングを電話にてご相談くださいね。
動物医療センター とよた犬と猫の病院
院長
北原 康大